東京都市考:東京都議会議員選挙を目前に想うこと(その2)

遂に小池都知事豊洲移転を表明した。
概要をかいつまんで説明すると、豊洲市場に追加の安全対策を施して市場を移転し、築地は五年後(東京五輪後)をめどに再開発をするといった内容である。
 
当初計画されていた築地跡地の民間への払い下げは白紙撤回され、市場機能を残した「食のテーマ―パーク(仮)」として東京都が再開発する予定である。
 
小池都知事は「築地を守る、豊洲を生かすことを基本方針の第一とする。築地は長年培ったブランド力、地域の調和を生かして改めて活用することが大切な宝を生かす方法だ」と述べた。
東京都議会議員選挙直前の絶妙なタイミングで、秘策「小池二刀流」の刃(やいば)が振り下ろされた瞬間であった。
 
発表を受け、市場関係者周辺は、暗闇にようやく光が差し込んだという安堵感と共に概ね好意的な雰囲気が漂っているような印象を受けた。
 
対抗勢力である自民党都議連は小池方針を受け、どのような反撃に打って出るのだろうか?
 
先ず挙げられる争点は、豊洲市場に関わる「借金返済問題」である。

当初築地跡地を民間へ一括売却して得た資金を豊洲の借金返済の一部に充てる計画であった。しかし、小池知事は築地を売却せず、都主導再開発による跡地有効利用から得られる賃貸収入等で数十年間にわたって借金を返済していくという長期返済プランを表明した。これを受け、「現実路線として収支基盤形成における大きな不安定要因あり」との異議申し立てを自民党都議連が選挙戦の材料として使ってくることが予想される。
 
つまり、「民間売却による短期借金返済」と「民間貸しによる賃貸収入等による長期借金返済」の対立構造をひとつの争点とする選挙戦が繰り広げられることが予想される。
 
この争点において選挙に臨む私たち都民(有権者)が着目すべきは、「都民ファースト」の視点でどのように考え、最終判断を下すかにある。
 
民間売却による短期借金返済」は、将来予測不能な都民への追加増税を抑止するという点では確かに正しいと言えるだろう。(「借金返済は最大の投資」という言葉もある)
しかしその一方で、長い歳月を積み重ね築きあげてきた「築地ブランド」を失いかねない危険性も孕んでいる。例えば、払い下げを受けた民間企業が自社利益追求を第一に、跡地に高層タワーマンション群を建設するような事態ともなれば、「築地ブランド」は一瞬の内に跡形もなく消滅してしまうことは明白であろう。(また、巷で噂に上がる築地跡地の巨大利権に絡む様々な癒着問題に発展しかねないとも考えられなくはない)
 
一方、都が改めて築地跡地の大屋となり、「築地ブランド保全に沿った再開発計画を推移し、テナントからの賃貸収入等で借金を返済していくというプランは、あながち的を外れた施策ではないような気がする。そこには市場関係者ばかりではなく周辺住民、ひいては都民にとっても最善の結果をもたらしてくれそうな、「都民ファースト」の空気感が溢れている様に感じられる。(築地ブランドだからといって「食のテーマ―パーク(仮)」とは、チョット安易すぎる発想なのかも知れないが、5年あればきっと素晴らしい再建案が出てくることに期待したい)
 
二つ目の争点として、豊洲市場における「追加の安全対策」に対する自民党都議連の反撃が予想される。
今回の市場移転問題の根本課題である「食の安心・安全」を都民に対してどの様に担保するのか? 「追加の安全対策」で、本当に安全と言い切れるのか?…
 
結論から言ってしまえば、都は都民に対し今回実施する「追加の安全対策」の内容において、科学的裏付けに基づいた充分な説明責任を果たし、最終的に公式な「豊洲市場安全宣言」を発布することによって、半ば情緒的に煽られてきた都民の不安感を払しょくし、大筋で理解を得ることが可能となるのではないだろうか。(少なくとも私はそう感じている)
 
豊洲移転における「借金返済問題」「築地ブランド存続」「食の安全・安心」という三つの争点に対する問題解決において、今回発表された小池方針は決して完璧なものではないのかも知れないが、現状考えられる中で「都民ファースト」の視点に沿った最も現実的な着地点と言えるのではないだろうか。

今回の選挙戦においては、東京大改革の旗を掲げ都民ファースト視点で政策を更に推し進めたい「小池派」陣営と、小池独裁政権誕生による二院代表制(*)の危機に警笛を鳴らす「アンチ小池派」陣営による二大勢力の局所戦が都内各所で繰り広げられることが予想される。

いずれにせよ二週間後には都民の審判が下され、世間を騒がせ続けてきた「豊洲市場移転問題」をはじめとする諸問題に一定の決着がつくだろう。
 
7月2日(日)ーーーそうだ東京都議会議員選挙、行こう
 
(*)二院代表制=地方公共団体(ここでは東京都)には、団体としての意思を決める議会(議決決定権=都議会)と議会の決定に基づいて事業を執行する団体の長(東京都知事=執行機関)がある。議員と都知事が住民による選挙で直接選ばれている。

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東京都市考:東京都議会議員選挙を目前に想うこと

先週末(6月17日~18日)に実施された大手メディア各社による「内閣支持率調査」の結果が出揃った。
各社の公表値(6月19日現在)は以下の通りである。(*前回支持率→今回支持率
―――――
○産経・FNN合同(56.1%→47.6%
共同通信(55.4%→44.9%
○読売(61%→49%
○毎日(46%→36%
○朝日(47%→41%
NHK(51%→48%
○NNN系列(46.2%→39.8%
テレビ朝日[報道ステーション](52%→45%
―――――
各社アンケート項目にばらつきはあるものの、(個人的には)予想以上の支持率低下という感想である。
支持率低下の大きな要因としては、やはり「テロ等準備罪」法案(共謀罪法)の成立過程における強行採決に対する国民の不安感と「加計学園問題」における説明不十分な状況下で強引な幕引きを図った政府自民党に対する不信感が挙げられるだろう。
7月2日実施予定の東京都議会議員選挙に向け、これら一連の問題の影響が及ばないよう画策を図った政府自民党および自民党都議連の思惑が裏目に出る結果となりかねない状況である。
国民の高支持率に胡坐(あぐら)をかいた一強・安倍内閣に慢心はなかったのか?
安倍内閣の悲願とも言える「憲法改正」への道に暗雲が漂い始めている。
 
次々と火を噴く一連の問題。
テロ等準備罪共謀罪)」法案における「与党 vs 野党」、「加計学園問題」においては「文科省 vs 内閣府」という対立構造が世間一般的な見立てとなっている。
しかし、うがった見方をするならば、「安倍政権推進派 vs アンチ安倍派」という自民党内の権力闘争の図式として捉えることもできるのではないだろうか?
安倍内閣による長期政権化や早急に推し進められる憲法改正ありきの国会運営を快く思わない党内対抗勢力による「安倍おろし」というストーリーに当てはめてみると、タイミングよく次から次へと湧いて出てくる一連の問題も、腑に落ちる点が多くあるのではないだろうか?
高支持率を背景に強行路線を推し進めてきた安倍内閣の信頼を失墜させるために次々と放たれる「安倍おろしの矢」。
第一の矢として放たれた「安倍昭恵夫人を巻き込んだ森友学園劇場」は、半ば不発に終わったが、「加計学園問題」や自らが放った「テロ等準備罪」法案の強行採決に対する国民の不安・不信感増幅という第二の矢が、安倍安定政権を弱体化させつつある。
そして、最後のとどめを刺すかもしれない第三の矢、すなわち「東京都議会議員選挙」がまもなく放たれようとしている。
 
小池都知事率いる都民ファーストの会にとって、今回の内閣支持率低下は願ってもない追い風になるだろう。また、争点のひとつと見られる「築地市場移転問題」において最終的な舵取りが成功すれば、小池新党圧勝も夢ではないだろう。(巷で噂される小池知事が隠し持つという秘策の真偽については甚だ疑問だが...)

(たらればの話ばかりで恐縮だが...)
仮に小池新党圧勝、自民党都議連大敗が現実となれば、一自治体の選挙結果と言えども安倍内閣の責任問題に発展することは恐らく避けられないだろう。
党内のアンチ安倍派も身内である自民党都議連議員の大敗を生贄(いけにえ)に、選挙責任問題で「安倍おろし」を一気に加速させるといった構図が容易に想像できる。
(8月の内閣改造を急きょ発表した経緯からも、党内粛清を目論む安倍政権の焦りを個人的に感じざるを得ない)
 
国政において長期安定政権が国内外にもたらす効用は計り知れない。しかし、裏を返せば独裁制の強い政権を助長させる温床となる危険性も秘めている。
健全な民主主義国家において、国民に対する謙虚な姿勢を失った政治権力は、やがて内部から崩壊し、正しい方向へと修正されていく運命にあることは歴史が証明している。
経済が潤い、国民生活を豊かにする政治は理想的であるが、それ以上に国民に信頼され、支持される政治を行うことが今ほど求められている時はないことを、安倍政権は今一度肝に銘じるべきである。
 
内閣支持率調査結果を受け、菅官房長官が発した「一喜一憂する必要はない」という台詞が今は空しく聞こえるばかりだ。
 
上善は水の若(ごと)し。水は善(よ)く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、故に道に幾(ちか)し。(「老子」より)
 
真の政治家が忖度(そんたく)すべきは、
国民の真意である。
 

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東京未来考:「コンパクトシティ団地」を空想する

大都市、とりわけ東京で推し進められている超高層ビルラッシュは、グローバリゼーションの流れの中で勝ち抜くための産業経済の集積を急いでいる姿であり、世界中が模索している「サスティナブル・ディベロップメント」(持続可能な開発)のコンセプトとはほとんど無関係な活動である。
また、近年予想される巨大地震に対する都市のあり方についての回答を引き延ばしたまま猛烈な再開発を進めている。
 
首都・東京におけるコンパクトシティの考え方は、絶え間ない「スクラップアンドビルド型」の土地利用から「ストック重視型」の土地利用への方向転換が大きな目標となる。
 
旧来の価値観・システムからの意識転換を行うには以下の視点が重要になる。
(1)「スケール」と「スピード」を競う価値観からの転換(人口増加や市街地の拡大を都市発展要因と考える視点からの脱却)
(2)物質的な豊かさの追求から生活の豊かさへの転換
(3)自動車依存社会からの脱却(環境問題や資源問題の克服など)
(4)自然、農業、農村軽視からの転換(食料自給率問題の克服など)
(5)「多数決」重視の民主主義からの転換(多様性、少数意見を尊重する柔軟な社会の実現)
 
以上、5つの視点から「コンパクトシティ東京」の理想モデルを空想してみたい。
(1)社会全体の無駄の排除
すでに多くの投資が行われた市街地にある低未利用地や使われていない建物を有効活用することで都市ストックの無駄を防ぐ(遊休資産の再活用)
(2)地域コミュニティの育成
近隣に様々なタイプの住宅が供給されれば、いろいろな社会的階層の居住者がともに生活するコミュニティが形成され地域社会が安定する。また、コミュニティと近隣の活動が強まれば、生活の質が向上し、安全と活力が増し、ビジネスやサービスにとっても好ましい環境が育成されることが予想される。また、コミュニティ強化の実現によりシェアリング・エコノミーの導入についての親和性が高まる。顔の見える住人で構成されるため、共同利用、共同購入などの調整(合意・決定)が図りやすい環境が育つ。
(3)高密度化
複合用途を配置することにより高密度な居住が可能となり移動距離が減少する。自動車に依存せず、徒歩と自転車利用により地域のサービス施設が利用可能となる。
良好な地域の定義とは、大規模な連続する排他的地域を持たず、どの集団にも同じような利用のしやすさを感じさせる地域である。
(4)外延的開発の抑止
都市郊外の開発を抑制することにより、農村や農地景観など自然環境を保全できる。
(5)地域運営の自律性
年齢、所得、性別、社会階層、人種、自動車利用、身体機能などの様々な特徴を持った居住者の交流が盛んなコミュニティが形成され、地位の現状、将来に関する方針の決定や運用について、主体的に参加できる地域自治が行われ、公平に生活できる条件が確保される
 
◎都市ストックを活用した「コンパクトシティ団地」空想モデル案
 
東京における「負の遺産」化が進む『集合団地』にフォーカスした「コンパクトシティ団地」モデルを設計する。
 
<空想コンセプト>
(A)超高齢社会対応型団地:個人、建物、インフラ、コミュニティの経年変化(エイジング)に適応可能な「エイジング・フレンドリー」団地
(B)持続可能型団地「自給自足型×シェアリングエコノミー」団地

<空想イメージ>
(A)
・超高齢社会に創造される都市は「時間的な垂直展開」と「地理的な水平展開」の両方を兼ね備えた都市である
・シニアだけでなく子育て世代や学生が集うような多世代共存型団地
・居住者の健康寿命を延ばし、新産業として雇用を創り出す課題解決型団地
(ex.居住者の8割が健康であることを目指し、「介護させない」ための健康支援に力点が置かれている。また、介護で儲けるのではなく、介護させないことで儲ける仕組みづくりが推進される)
・団地発の雇用創出
(健康に関するビッグデータのストックなどにより予防医学、食事、IT、生涯学習等の関連雇用が綿密に準備される。特に健康に関するビッグデータ解析は地域での付加価値の高い雇用として有望である。また、シニアが再び学校に通うことで、少子化問題に直面する教育機関にとってメリットが生まれ、官民産学の‘四方両得’をもたらすことが期待できる)
 
(B)
・自給自足を促進するためのテクノロジー導入(農業団地構想)
・食糧やエネルギーの自給率を段階的に高めていくことで「自給自足型エコシステム団地」を目指す
・大学や民間企業など最先端テクノロジーの実証実験場としての機能も併せ持つ
・人間が労働力を提供してきた従来型農業からマシン管理(Agtech)する都市型「植物工場」の実験場として団地を活用(「団地内植物工場」は最終目標としてAIの管理下で気象条件に影響されることなく、安全・安心な作物をオンデマンドで安定供給することができるようになる。無駄を極限まで削ぎ落すテクノロジーの導入により、生産に関する限界費用をゼロに近づけることが可能になり、限界費用ゼロで生産された作物はコミュニティにおいて無料でシェアすることも理論的に可能になる)
・マネー資本主義に依存しないサブシステムの創造(お金が乏しくなっても、水、食料、燃料が無料で手に入り続ける仕組みづくりは「安心安全ネットワーク」の究極のカタチとなる)
・団地コミュニティで取引される商取引は、すべて仮装通貨「D-CASH(仮名)」で行われる(コミュニティ内での貢献活動に対する労働時間に対し、インセンティブとして「D-CASH」が支払われ、また、団地内でのサービス・材を購入することも可能なコミュニティ専用仮装通貨のモデル地区として実証実験を行う→最終的には区・市町村エリアまで拡大想定)
・近隣地区に所属する専門家(農業技術者、IoTコーディネーター、システムエンジニア、データアナリスト、防犯・防災アドバイザー、介護士、弁護士、ファイナンシャルプランナー、フォームアドバイザー、インテリアデザイナー、イベントプランナー、デザイナー、各種講座講師、栄養管理士、調理師、ファッションデザイナーなど)を「団地コンシェルジェ(仮名)」として組織化し、高密度インテリジェント団地として形成していく。また、居住者(特に健康な高齢者)においても個々人の経験に応じた技術・能力を発揮してもらうためコミュニティに提供できるメニューをエントリーすることが可能である
 
◎超高齢化社会におけるビジネスモデル創造実験場「コンパクトシティ団地」
 
日本は高齢化のフロントランナーである。
東京近郊に点在する「コンパクトシティ団地」を創造し、具体的な施策を実行していくことで、高齢者がアクティブな生活を送るためのセーフティネットが出来、結果として更なる技術進歩を誘発しながら都市の活力の底上げに貢献することになる。また、高齢者の健康意識の高まりとともに予防医学セルフメディケーション分野における取組が活発になり新たな雇用機会を生み出す可能性も大いに秘めている。
コンパクトシティ団地」での実証実験を重ね、高齢化ビジネスモデルの成功事例を国内外に輸出することで先行者利益を確保できる可能性も秘めている。
 
【参考出典】
○「日本型魅力都市をつくる」(青木仁・著/日本経済新聞社・刊 2004)
○「日本版コンパクトシティ~地域循環型都市の構築」(鈴木浩・著/学陽書房・刊 2007)
○「シビックプライド」(シビックプライド研究会・著/宣伝会議・刊 2008)
○「超高齢社会だから急成長する日本経済」(鈴木将之・著/講談社・刊 2017)
○「シェアリング・エコノミー~Uber,Airbnbが変えた世界」(宮﨑康二・著/日本経済新聞社・刊 2015)
○「コンパクトシティ ―持続可能な社会の都市像を求めて」(海道清信・著/学芸出版社・著  2001)
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東京未来考:都市疑似体験における好意的な世論形成について

都市はリアルな体験を通してのみ、その本質に迫ることが出来る。リアルな体験なくして、その都市の本来の姿を理解することは困難である。
 
インターネットの発展に伴い、人々はリアルな体験を行う前段として、目指す都市に関する事前情報をできる限り収集することに時間を割くことを重視するようになった。
何故なら、観光にしても居住地を探すにしても、あらかじめ都市の情報をストックすることから始め、様々な検討を繰り返すことで目指すべき都市が「本当に自分の理想する都市なのかどうか?」という疑問に対しバーチャルな体験を通じて確信を得ることで、より失敗のない判断を下したいという心理的作用によるものと考えられる。
 
インターネット以前の街選びは、せいぜいHanakoなどに代表される街情報誌やテレビが取り上げるタウン情報など荒い情報に依存するか、もしくは実際に住んでみることでその都市(もしくは街)の優劣を判断するしか手立てがなかった。
 
しかし、インターネットの爆発的な普及によって、SNSなどによる個人情報の発信が都市体験を行う上で大きな革命をもたらした。
ネット上に溢れかえる都市情報は、実際には都市を体験していないにも関わらず、その土地を訪れる前に、あたかもその都市をすべて体験したかのような気分にさせてしまう。別の土地に居ながらして、目指す都市、街のバーチャル体験ができることで、地図上の距離は消滅してしまった。
そして都市の本質として残されたものは、都市が持つリアルな価値、つまりその場に居なければ決して体験することのできない人と人とのコミュニケーションを代表する街の「空気感」である。
人はその場に行かなければ味わうことのできない「空気感」があることを経験上知っている。しかし、インターネットが全盛を極める現在において、人々が都市における様々な情報をあらかじめ検索することを止めないのは、手軽に膨大な情報を手にすることが出来るからに他ならない。都市を体験するという行為の過程において、この手軽な情報収集という行動が日常化してしまったため、都市部へ人々を吸引するためにはウェブ上の評判形成が都市コミュニケーションにおいて重要な位置づけとなった。
 
人々はウェブ上でバーチャルな都市体験を行い、自分の物差しと合わないと感じた瞬間に、その都市はその人がリアル体験する前に消去されてしまうのだ。
それを避けるためには、ウェブ上で評判を形成するためのコミュニケーション技術が不可欠となる。バーチャルな都市体験の中で、都市に対する期待、賛同、応援、支援、参加などの都市に対する好意的な世論を形成させる仕掛けが重要となる。
 
これまで活用されてきたマスコミの情報発信だけでなく、FacebookTwitter、LINE、YouTube、Instaglamなど各種SNSなどソーシャルメディアから個人の意見が発せられる環境整備、それらの情報が都市に対する好意的な世論を形成する重要なツールとなるのである。
 
ウェブ上での評判を形成するためには「アドボケイツ」(都市を積極的に応援し、より良い都市にするために行動する伝道者)の存在が不可欠である。
(*アドボケイツ=口コミやインターネット上のレビューが中心となる主唱者のこと)
多くの「アドボケイツ」をどのように育成するかが、今後の都市コミュニケーションに与えられた重要な課題のひとつである。さらに「アドボケイツ」の育成のみならず、都市から発せられる情報がウェブ上で好意的な話題となり、拡散していくことも試みなければならないだろう。その際の重要なポイントは、情報そのものにコンテンツとしての魅力を持たせることである。

〇アドボケイツたちに支持されるための団地再生空想プロジェク「D+α Project」
都市ストックのひとつである「団地」をコミュニケーションスポットとし、アドボケイツたちに支持されるための情報コンテンツとはいかなるものなのだろうか?
「D(団地)+α」というマッチングにおいて考えられるものを列挙してみたい。
 
D+スポーツ(フットサル、スケボー、3on3などアーバンスポーツ施設やドローン競技などハイテクスポーツのデモ施設の開設)
D+農業(団地内植物工場:希少野菜の水耕栽培や観葉植物育成施設)
・D+アイドル(団地アイドル、団地ゆるキャラ:全国団地による組織化、団地コンサートの実施など)
D+観光(団地観光マップ、団地リアル脱出ゲーム、団地周辺観光ルート開発:ガイド育成)
D+映画(団地映画祭、団地ドラマ、団地動画/プロジェクションマッピング上映会など)
D+IoT(IoT団地モデルルーム)
D+ロボット(全自動化団地)
D+シェアリング(シェアエコノミーモデル団地:団地版UberAirbnb、シェアサイクルなど)
D+自給自足(自給自足型エコシステム団地:有機ゴミの再資源化、食糧生産、農業専門家による勉強会など)
D+アート(団地ギャラリー:建物外観デザイン、オブジェ展示、創作スタジオ/近隣美術大学の作品展示場としてのコラボ機能)
D+メディア(団地専門雑誌、団地FM局[団地専属DJ]、団地SNS、団地新聞、団地地図、団地フラッグなど)
D+広告YouTubeなど動画サイトを活用した映像プロモーション、沿線電鉄会社とのコラボレーションPRなど)
D+専門家(有名パテシエ等のアンテナショップ、有名デザイナー団地、団地出身芸能人などVIPとのコラボ空間の創出)
D+グッズ(団地家電、団地ブランドノベルティ、団地デザインのアパレル製品など)
D+フード(団地ブランドのスイーツ、B級グルメブランド野菜を使ったメニュー、団地ワイナリーのワイン、団地ビール醸造所など)
D+LIFE(団地生活ガイド、団地生活写真集、)
D+セキュリティ(防犯・防災モデル団地、避難拠点、非常用食料備蓄施設、核シェルターなど)
D+OFFICEサテライトオフィス、Lab、宅配集積所、地元生産品アンテナショップなど)
D+家族(多世代世帯、育児・介護、冠婚葬祭、収穫祭、年中行事)
D+ファイナンス(IoTと連動した団地内仮装通貨の流通・市場実験場として)
D+エネルギー(自家発電システムの構築:太陽光、バイオマス発電等による電力自足と余剰電力販売)
D+ホスピタル(地域総合病院との連携による団地内診療ステーションの運営など)
D+マーケットフリーマーケット、団地初のコンビニ、団地商店街の復活など)
D+バリアフリー(屋内外の非段差化、スロープ式昇降階段、団地内エアシューター設置など)
D+アシスタント(巡回式御用聞き・コンシェルジェの設置、孤立化防止)
D+ホテルスマホ自動開閉錠による賃貸ルーム、住民による共同管理宿泊施設)
D+庭園(自動栽培による庭園、四季折々の花まつり、団地盆栽園など)
D+コミュニティ(団地カフェ、団地図書館、団地スポーツジム、団地コミュニティホールの開設/共同購入システム、団地会議、「団地の駅(地元農家との共同運営)」)
D+トラフィック(団地近隣巡回無人交通・自動運転コースのモデル化、ライドシェアの団地内ネットワークシステム構築など)
D+エデュケーション(サブカル系ジャンル専門、都市開発専門、IoT開発専門など今後の団地運営に関する人材育成の場から住民の教養を高める趣味講座の場まで幅広く設定:近隣大学とのコラボレーションによる「団地大学公開講座」などを定期的に実施)
 
予算をかけなくても実現可能なものから経済的・法的にクリアしなければ実現困難なものまで、思いついたアイデアをざっと列挙してみた。
アドボケイツたちに支持されるための空想プロジェクトはまだまだ沢山あるだろう。
近代以降、拡大路線で成長を推し進めてきた日本の都市は、画一的な価値とは異なる独自の豊かさを見出していく必要性に迫られている。また、都市はそれぞれの個性や目指す方向性を明確にし、住む場所、働く場所、学ぶ場所として選ばれることに意識的にならざるを得なくなっている。
そのための都市実験場として規模的にもコンパクトで、「見える化」が実現しやすい「団地」という都市ストックの活用方法について今後も積極的に発信していきたいと思う。

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東京未来考:「所有型都市」から「シェア型都市」へ


〇都市空間に大きな影響をもたらした都市住民の階層分化について
 
古代から現代に至る都市形成の歴史において、「都市住民の階層分化」は都市空間のパターンに影響を与え続けている。
階層分化はおおむね以下の3つの層によって形成される。
 
<第一階層>富の蓄積を持った豊かな層や固定資産や投資から収益を得ている上流階級
<第二階層>中小商人や特殊な技術を有する職人(テクノクラート)からなる中流階級
<第三階層>(政治・経済的にまったく影響力を持たない)労働者による下流階級
 
以上、3階層の中で政治・経済力を持つ上流階級が古くから密集した中心部の市街地土地を買い漁りはじめ、市中心部にあるマーケット周辺の土地を買占め、今でいうオフィスビルや金融業を始めた。
その結果、職住一体を旨としていた従来の居住パターンは崩れ、住むところを失った多くの都市市民(下流階級)は、郊外から通勤することを余儀なくされた。都市における配置や構成とは全く関係ない「構成要素」を原因とする都市変化の一例である。
 
ここで「都市市民」というひとつの「構成要素」について更に考えてみたい。
結論から言うと、「自然発生的都市」であろうと「計画的都市」であろうと、あらゆる階層の「都市住民」がそこで継続的、安定的に生活することができなければ都市は遅かれ早かれ崩壊へと進んでいくということである。(長い歴史が証明している)
どれほど立派なランドマーク施設が建設されようと、どれほど効率的なインフラが整備されようと、そこに住むすべての「都市住民」がいなくなれば、都市開発は絵に描いた餅である。
 
それではあらゆる階層の都市住民が未来永劫、継続的・安定的に暮らしていける都市になるためには何が必要なのだろうか?
 
私の考えるひとつの視点は、「所有型都市」から「シェア型都市」への構造転換である。別の言い方をするなら、「富の独占」社会から「富の分配(解放)」社会への意識転換とも言える。
 
一部の権力層にコントロールされる資本第一主義に基づいた都市開発に見切りをつけ、住民階層に左右されない持続可能な都市像を創造する。「所有」することで満足してきた愚かさに気づき、「シェア」することの素晴らしさを体験する機会を増やしていくことで、都市住民が主役になる都市づくりを推進していく。

今こそ、「限界都市」から「無限都市」へ、「所有」から「シェア」へ、大きくシフトチェンジすべき時代の到来である。
 
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【参考文献】
・「里山資本主義」(角川oneテーマ21/藻谷浩介・NHK広島取材班:著)
・「東京は郊外から消えていく!」(光文社新書三浦展:著)
・「文化としての都市空間」(千倉書房刊/市川宏雄・著)
・「Wikipedia:『限界集落』」検索結果ページより抜粋
・「シニアシフトの衝撃」(ダイヤモンド社刊/村田裕之・著)
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東京未来考:「セレンディピティ」視点で考える都市拡張性についての考察

未来型都市・東京の在り方について「東京」と「限界集落」という地政学上対局する二つの視点から考察してみたい。
 
両者における明白な差は、「人口増減を決定づける住環境システムの優劣」によるものと考えられる。
「住環境システムの優劣」の中身を大まかに細分化すると以下の点が挙げられる。
 
・雇用環境の優劣
・健康福祉環境の優劣
・教育や文化的環境の優劣
 
東京の人口膨張現象は今に始まったことではなく、江戸からの長い歴史を経て作り上げられた都市システムの大きな特徴である。
都市部においては、雇用機会の増加、健康福祉環境の充実、高度教育や多様な文化創造の魅力ある機会が常に産み出されており、疲弊、老朽化し将来の夢を描きづらい地方の若年層を中心とした人口移動が今なお進行している。
日本に限らず世界の主要先進国は、富める大都市と病める地方都市の格差が確実に拡大し続けている。
都市では個別にカスタマイズされたデフォルト(標準的な使用条件を想定して、あらかじめ最適な状態に設定されている)の生活パッケージが次々と生産され続けており、それを支えるため地方都市は肉を削り骨と皮までしゃぶりつくされている状態である。
(搾取され続けた土地は、「限界集落」となり、やがては「消滅集落」となっていく――高度経済成長期、都市の活力を維持・発展させるため、地方の多くの山間部集落が水力発電ダム建設のために消滅、犠牲になったことなど今や誰も気にしていない)
 
現在も地方からの搾取は続いている。
地方が犠牲になっている典型的な例が、原子力発電所の存在であろう。
具体例としては、東日本大震災に伴う津波被害で大事故を起こした東京電力福島第二原子力発電所が記憶に新しい。
首都圏が消費するための危険極まりない発電システム建設を、エネルギーの安定供給のための国策と正当化し、原子力推進派の政治家、学者、関係中央省庁の官僚たちと結託し、一部の地方議員、利権者が札束と引き換えに土地を提供した結果、先祖代々住み続けた土地を失ってしまった無関係な住民たちの悲劇。
 
限界集落」においては、ほとんど選択の余地がない厳しい環境下で限定かつ閉鎖的な生活が細々と営まれている。
一方、「都市」においては、人工的に産み出されるバラエティ豊かなモノ・コトが、常に人間の脳を刺激しドーパミンを溢れさせる生活空間が形成されている。
人工的にカスタマイズされ、適材適所に配置された都市型システムは、常時効率的かつ効果的に機能しており、人々の安定した社会生活を保障しているかの様に見受けられる。
 
ここで、「セレンディピティ(意外性)」というキーファクターを用いて、「都市」と「地方(限界集落)」の差異について考察してみたい。
 
セレンディピティ(意外性)」という切り口で「都市」を眺めてみると、都市生活が予定調和で溢れた陳腐な社会システムに見えてくる。
そして、予てより私が主張してきた都市の脆弱性が一気に露見する。
都市における合理性、効率性、有用性の重視一辺倒がもたらす「危うさ」を感じざるを得ない。
セレンディピティ」視点で解釈を加えた場合、以下のような定義づけができるのではないだろうか。
 
〇「都市」=「限界セレンディピティ
〇「(限界集落を含む)地方」=「無限セレンディピティ

それでは、「都市」と「限界集落」に隠されたポテンシャルを比較してみたい。
 
▼「限界セレンディピティとしての都市」
人工的に創出されたモノ・コトには耐用年数や賞味期限など有限の仕掛けが設定されており、そこで生活を営む人々の行動もある一定の予定調和のループの中で繰り返される。つまり、意外性において常に限界点が存在しており、その限界点を超えることはない環境下で人生の殆どが消費されていく(拡張性が起きづらい人間社会)
 
▼「無限セレンディピティとしての地方(限界集落)」
自然という常に予測不能で有機的な意外性が連続するシステムが主体となっており、人間はその一部過ぎないという立場。生命維持のための安全・安心を獲得するためにコミュニティ全体が常に知恵や工夫を出し合い自然と折り合いをつけていくことで成立する社会システムであり、自然と共存していくことを手段とするため緊張と緩和の連続による刺激ある人生(拡張性に富んだ人間社会)
 
日々進化する科学やテクノロジーによって利便性が高く快適な生活が得られるという幻想にどっぷり浸かった現代人。
科学の発展が未来永劫続くことによって、人類の幸福が持続的にもたらされるという根拠のない科学第一主義的な考え。
一部の権力層に都合の良い国家管理システムの中で、それを疑うことなく生活する危うさ。
一方向で提供される社会システム、社会ルールの中で身も心も委ねること(思考停止状態)が最適な幸福と考えてしまう奴隷的市民。
 
国家が率先して進める都市型管理システムの下、市民を効率的に活用するための好都合な仕掛け(法律、行政、プロパガンダなど)が現在進行形で数多く産み出され続けてきた。
 
科学をはじめとする人間哲学は、自然への畏怖と敬愛を基点として発展してきた。
予測不能な自然現象に対し、人間がいかに折り合いをつけてくかの歴史でもあった。
自然が与えてくれる恵みをありがたく利用させてもらいながら人類は発展してきた。
しかし、いつの頃からか人類はその恩恵を忘れてしまい、自ら自然をコントロールし、支配することに専念するようになってしまった。
その結果、自然の脅威を恐れない科学思想の発展は、人類の想像をはるかに超えるような諸問題を数々引き起こしている。
地球温暖化による自然災害や原発事故による放射能汚染など)
 
 
しかし、状況は変わりつつある。
2011年3月11日14時46分18.1秒のあの日から。
この日を境に都市における市民の意識は確実に変化し始めた。
 
都市は自然から一方的に搾取するシステムとなり、自然に対する畏怖の念をすっかり忘れてしまっている。
そして、自然(地方)がもたらす恵みを、都市社会が独占的に消費する時代に限界が訪れ始めている。
 
昨今、自然の宝庫である「里山中心主義」が改めて見直され始めていることはせめてもの救いであり、我々日本人がまだ自然を完全に冒涜していないことへのひとつの象徴的な現象であろう。
都市においても、「里山中心主義」的思想を主体とした都市開発が望まれる。
山を削り、海を埋め立て、国土の豊かな天然資源を搾取していく開発を今からでもストップし、既にある資源を再生させていく社会システムに大きく舵を切るための意識改革が望まれる。
 
東京で現在推し進められる都市開発を見るにつけ、その計画を最先端で担う一流建築家たちのどれ程が、数世紀先の都市像をイメージできているのか甚だ疑わしい。
 
都市緑化計画や自然エネルギーの活用など鳴り物入りで高らかに謳われた希望の未来構想も今や影を潜め、相も変わらず商業ベースに乗っ取った箱モノ中心の都市開発が東京の至るところで推し進められている。
 
2020年東京五輪を目の前に控え、その開発ピッチは更に加速されている。
五輪大会施設における大会終了後の有効活用策についても、創造力の欠片もない既定路線(レガシーと呼ぶにはほど遠い一部の競技団体のマスターベーション的施設やコンサートなどの商業的活用)に沿った紋切り型の活用例ばかりが並び、改めて行政機関・お役人たちのセンスの無さを嘆くばかりである。
 
首都・東京が持続可能な都市として成長し続け、そこに暮らす市民生命の安全・安心を確保するために何が重要か、ちょっと熟考すれば誰でもすばらしいアイデアを発想することができるだろう。
 
例えば、東京が「防災都市」をひとつのスローガンとして挙げているのであれば、大会施設を都市防災拠点のひとつとして再活用できるようなカタチの設計を組み込むといった発想が出てもおかしくないだろう。また、都市における「里山」的な自然を謳歌できる場所や都心で消費される食料の自給率を高めるための一大農業工場構想など考えればいくらでもアイデアは出てくる。(ex.海上都市・東京の地政学的特徴を活かし、臨海部において陸の「農業工場」と、海の「養殖牧場」をリンクさせた海洋型都市モデルを推進することで、新たな研究・教育機関や雇用機会を創出することも可能だろう)
 
東京はこれまで地方都市に依存し、一方的に搾取し続けてきたエネルギー、食料などをある程度自給自足で賄える自立した都市を目指すべきである。
 
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【参考文献】
・人類社会学者・広井良典千葉大学教授)氏による論文
・「里山資本主義」(角川oneテーマ21/藻谷浩介・NHK広島取材班:著)
・「東京は郊外から消えていく!」(光文社新書三浦展:著)
・「文化としての都市空間」(千倉書房刊/市川宏雄・著)
 
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▼【YouTube】世界有数のメガポリス「東京」イメージ動画
「TOKYO,TOKYO,TOKYO ! 」 (over 2,000 TITEL)

GINZA SIX(GSIX)が予感させる新たな都市空間 PART.2 ~閉塞した都市モデルのキャズムを超えることは可能か?


(PART.1からの続き)
 
【GSIX(GINZA SIX)について感じたこと】
 
①充実したアメニティ
・各フロアのメインスペースに充分なソファが配置されており、買い物疲れの顧客や待ち合わせ場所として機能している。
・フロア南北それぞれに充分なレストルーム(トイレ等)が設置されており、行列待ちなどによるストレスを感じることなく利用可能。
・上顧客向けには特別なメンバーシップラウンジ「LOUNGE SIX」(5F)が用意されている(会員限定のオリジナルフードやドリンクメニューの他、国内外のVIPを満足させるハイクオリティーなプログラムと一流コンシェルジュが対応する特別な空間が用意されている)
②回遊性
センターフロアの吹き抜け(2F~5F)を中心に同心円状に2本のループ(通路)が設計されており、同一方向に2回転することでフロア全体を巡ることが可能(他商業施設で見受けられるような袋小路はほとんどなくストレスフリーなフロア回遊を実現している)
また、上下階へつなぐエスカレーターもフロア回遊性に連動して適切な場所に設置されており、他施設でありがちな「(昇り・下りの)エスカレーター乗り場はどこ?」といった探す煩わしさを一切感じることがない(センター吹き抜け空間によりフロアのどこにいてもエスカレーターの位置確認が可能)
③店舗レイアウト・デザイン
他商業施設にありがちな、床面積あたりの効率性(コストパフォーマンス)を重視した紋切り型のレイアウトではなく、通路全体がゆるやかなカーブを描き、「この先にはいったいどんな店があるのだろう?」と期待させるレイアウトになっている。
各テナントはゆったりとしたスペースに収まっており、圧迫感を感じることなくリラックスした気分で店内で買い物できるように演出されている。
また、奥まった場所には落ち着いたカフェやレストランが点在し、フロアの喧騒を避け、銀座の街を眺めながらゆったりと過ごせる施設が設置されている。
④利便性
東京メトロ(銀座・日比谷・丸の内)の3線が走る「銀座駅」に直結する通路が開通予定(2017年12月予定)。
地下通路に加え、観光バスの乗降所や515台収容可能な地下駐車場、さらには400台収容の公共駐輪場も設置されており、徒歩、自転車、電車、自動車と様々な交通手段でやってくる人々を受け入れる銀座のランドマーク的存在である。(2020年・東京五輪を想定し、大会各会場と東京駅を結ぶ大型バスの中継地点としてのハブ機能も併せ持つ施設)
⑤商業施設+αとしての拡張性
〇「アート」鑑賞の空間(現代美術界のアーティスト作品)
草間彌生氏:バルーンのインスタレーション「ドットとカボチャのバルーンアート
・チームラボ:デジタルインスタレーション「リビング・ウォール」
・パトリック・ブラン氏(植物学者):「リビング・キャニオン」
・エレベーターホールのアート群(江戸小紋模様の彫刻など)
〇「旅」を支援する空間
・ツーリストサービスセンター「TERMINAL GINZA」
観光バスの発着所に面していることから、コンビニや両替所、免税手続き窓口、配送窓口などツーリストにとって利便性の優れた空間が設けられている。
バスの発着時間帯(午前9時~午後9時)は、バイリンガルスタッフが常駐。
銀座を基点に日本各地を旅することを可能にする情報発信基地として、また訪問客がコンパクトな日本を感じることができる演出がなされている。
〇「憩い」を味わう空間
・銀座エリア最大の屋上庭園「GINZA SIX ガーデン」(約4000㎡)は、そのスケール感と抜群の回遊性が特徴である。
〇「知的」満足度を高める空間
・「銀座 蔦屋書店」(6F)は木材を多用した江戸の美意識が息づく店内の各所で展開されるユニークな棚づくり。併設するギャラリーやコーヒー、アルコールが飲めるスターバックスなど
〇「文化・伝統」を広く内外へ発信する空間
銀座地区へ里帰りした「観世能楽堂」(B3F)は、地域に開かれた多目的ホールとしての機能も果たす施設。今後予測される大震災等にも対応可能な防災拠点としての機能も兼ね備えた施設となっている。災害発生時約1000人の帰宅困難者の一時滞在場所として、また、施設全体で約3000人が3日間、一時滞在できるようスペースと食料が備蓄されている。
⑥演出(外観・店内)
店舗レイアウトは「ぶらぶらと歩く楽しみ、角を曲がった先の偶然の出会いを楽しむ(デザイナー:グエナエル・ニコラ氏)」設計になっている。
「アートと融合した商業施設」をコンセプトの一つとしているだけあって、フロアの各所は様々なアート作品で溢れている。
外観においては間口115mの銀座通りに面した意匠は、6つの印象的なファサード(上部が全体を統一する「ひさし」、下部が6つのブランド店の「ひさし」)で構成されており、重厚な中にも銀座を彩るラグジュアリーで上品な雰囲気を醸し出している。
また、元々存在していた銀座の通りを継承する2つの通りを敷地内に再現することに成功している。
〇「銀座パサージュ」:館内を中央通りと三原通りを東西に結ぶ通路(開放時間:午前7時~午後11時30分)
〇「あづま通り」:交詢社通りとみゆきどおりを南北で結ぶ通り(24時間通行可能)
⑦話題性(情報発信力)
・グランドオープンに合わせ、アート系メディアやメトロポリタンガイドなどによる特集が多数組まれている
・オープニングに合わせたプロモーションビデオでは、2016年リオオリンピック閉会式演出スタッフ陣とコラボにより、2020年東京五輪を意識した東京を代表する商業施設として巧みなイメージづくりに成功している。
・来訪者がSNSを使った情報発信を積極的に行いたくなるような仕掛けなど(インスタ映えする店内アートなど)
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(あくまでも個人的見解であるが)
GSIXは、近年登場した都内商業施設の中でもあらゆる面において群を抜いた「魅力ある施設」であると感じた。
顧客を引き寄せるための魅力的な商品のラインナップについては、各テナントの企業努力によるところが大きいが、それだけに頼っていてはファンとなるリピーターや良質な新規顧客の獲得を延ばしていくことは相当に難しいだろう。
しかしながらGSIXには、そんなキャズム(溝)を乗り越えるだけの「潜在的なポテンシャル」が十分に兼ね備えられているように私には感じられた。
そのポテンシャルを活かすも殺すも、人間の知恵と工夫次第であるが...。
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【参考文献】
・人類社会学者・広井良典千葉大学教授)氏による論文
・「里山資本主義」(角川oneテーマ21/藻谷浩介・NHK広島取材班:著)
・「東京は郊外から消えていく!」(光文社新書三浦展:著)
・「GINZA SIX magazine」(4月20日,2017発行号)
・「東京人」(2017年5月号:特集「銀座120の秘密」)
・「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」(発表元:森記念財団シンクタンク・都市戦略研究所)

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▼【YouTube】銀座六丁目再開発プロジェクト“GINZA SIX”
 
▼【YouTube】世界有数のメガポリス「東京」イメージ動画
「TOKYO,TOKYO,TOKYO ! 」 (over 2,000 TITEL)