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SynchroLabTOKYOの日記 ~ 新・東京づくりのヒント 「限られた空間活用と、まだ見ぬ空間創造」

都内再開発のトレンドのひとつとしてここ数年、「高架下」の再開発が注目を浴びている。

2016年11月22日にOPENした「中目黒駅高架下」(東京都目黒区上目黒1~3丁目ほか)もそのひとつである。

「SHARE(シェア)」を開発コンセプトにし、目黒川から山手通りを超えて祐天寺方面へ、繁華街、住宅地を貫く全長約700mに渡る高架下空間を展開。

富裕層エリア中心に出店を展開する「蔦屋書店」を中心に中目黒らしい街の楽しみ方ができる新業態の飲食店が軒を連ねている。

これまでの「高架下」のイメージは、有楽町・新橋・上野・神田ガード下に象徴されるような「薄暗く煙のもやもやした空間の中に点々と灯る焼き鳥屋や大衆酒場の赤提灯で仕事に疲れたサラリーマンが管をまきながら終電まで飲み明かす」ストレス発散のオアシスであり、音楽に例えるなら「演歌」や「昭和歌謡」的空気感である。(これはこれで東京を象徴する貴重な原風景のひとつであることは言うまでもないが・・)

しかし、昨今の「高架下」にはそのような悶々としたイメージは微塵もない。

中目黒駅高架下」は既存の「高架下」のイメージを払拭する新たな実験場のひとつとなることだろう。

今や女性の「おひとり様」が社会的認知を得、「ガード下で立ち飲みスタイル」が東京で働く女性たちのライフスタイルのおしゃれな要素として定着した感は否めない。

立ち飲みスタイルは基本的には変わらずとも、女性を意識した洒落たビストロや高級鉄板焼きをリーズナブルな価格で提供する、いわば「中目黒発・新形態・食のセレクトショップ」を一堂に会した同施設の動向に今後とも注目していきたい。

 

▼「高架下」を活用した新商業施設▼

◎「2k540 AKI-OKA ARTISAN」(東京都台東区上野5-9)

2k540 AKI-OKA ARTISAN:ジェイアール東日本都市開発

◎CHABARA [ちゃばら](東京都千代田区神田練塀町8-2)

CHABARA(ちゃばら) AKI-OKA MARCHE:ジェイアール東日本都市開発

◎mAAch マーチ エキュート 神田万世橋(東京都千代田区神田須田町1-25-4)

mAAch マーチ エキュート 神田万世橋

◎阿佐ヶ谷アニメストリート [ASAGAYA ANIME STREET](東京都杉並区阿佐谷南2-40-1)

阿佐ヶ谷アニメストリート | ASAGAYA ANIME STREET

◎中央ラインモール構想「nonowa国立武蔵小金井・東小金井・武蔵境・西国分寺・ののみち(武蔵小金井東小金井駅間)」

nonowa(ノノワ) - "緑×人×街 つながる" 中央線からはじまる、新しいライフスタイル

◎中目黑高架下 [NAKAMEGURO KOUKASHITA](東京都目黒区上目黒一丁目、二丁目、三丁目)

中目黒高架下公式サイト

◎サナギ新宿(新宿区新宿3-35-6 甲州街道 高架下)

サナギ新宿 | SANAGI SHINJUKU - サナギ新宿 | SANAGI SHINJUKU

◎ログロード代官山 [LOG ROAD DAIKANYAMA](東京都渋谷区 代官山町13-1)

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)公式サイト

◎江戸NOREN(東京都墨田区横網1-3-20)

-両国-江戸NOREN:ジェイアール東日本都市開発

 

東京の都市再開発の中でこれまでデッドスペースと考えられてきた「高架下」が、発想転換するしたことで、いまや「駅近」の利便性を前面に押し出した「超一等地」となり、東京の新たな魅力ある空間へと再生され始めている。

 

高架下」に留まらず、東京には有効活用されず休眠状態のデッドスペースが数多く存在している。

例えば、「ビルの屋上」「ジオ空間(地下鉄の連絡通路や地下駐車場)」「公共施設・公園」「少子化で廃校になった校舎」「常に空室状態の雑居ビル」など・・・アイデア次第で人々が気軽に足を運べるスペースを生み出す余地が都内には相当量存在する。

中でも個人的に注目したいのが「ビルの屋上再生」である。

駅前周辺の雑居ビルの殆どの屋上が、固く扉を閉ざし外部からの侵入者を遮断しているのが現状である。

おそらく雑居ビルの屋上の商業的利用が法律や法令などにより困難なことは想像できるが、「限られた都市空間の有効活用」を行政の使命のひとつとして積極的に規制緩和し「都会のデットスペース」の発見・再生活動を是非とも推進して頂きたい。

ありきたりな「屋上緑化」や「屋上庭園」などに留まることなく、「屋上シアター」「屋上フリーマーケット」「屋上コンサート」「屋上美術館」など文化的要素をプラスした商業空間が続々と「駅近」に出現してくれば東京の新たな街再生の起爆剤となるのではないだろうか。

「今日はどのビルの屋上へ行ってみる?!」

これまで発想になかった「街のタテ移動動線」が駅周辺に増殖することで、街の回遊性は2倍どころか無限に膨らんでいくのではないだろうか。

 

ビル再生の好例として2例挙げてみたい。

一つ目は「軍艦東新宿ビル(通称:軍艦マンション)」(新宿区大久保1-1-10)。

軍艦マンション再出航イベント[GUNKAN crossing]| top

軍艦マンションは1970年竣工、地上14F、地下1F建て。陸軍船舶出身という経歴を持った異端の建築家、渡邊洋治の代表作として知られている。解体を検討されていた時期もあったが、多くのファンたちの強い要望により「GUNKAN東新宿ビル」という名称でリノベーションに成功し、新たな命を吹き込まれた。 GUNKAN crossing ]には、その「再出航」を祝い、ミュージシャン、写真家、デザイナーなど、ジャンルを超えた35組のクリエイターが集結した。

個人的に最も注目している二つ目の例は、「銀座奥野ビル306号室プロジェクト」(東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル306号室)である。

銀座奥野ビル306号室プロジェクト

1932年(昭和7年)の開館当時は銀座界隈でも屈指の高級アパートだった奥野ビル(旧銀座アパートメント)。老朽化が進んだ本館を何とか解体せず保存したいと願う有志一同が資金を提供しあい見事なリノベーションを実現している。いまだに現役で稼働する手動ドア式エレベーターや建物の動脈のように入り組んだ複式の昇降階段、各フロアーにはこだわりのあるギャラリーやデザイナーズショップなど所狭しと待ち受けている。

奥野ビルは銀座のどんな最新のインテリジェンスビルにも引けを取らない、「東京に来たら必ず訪れたい場所」として是非とも推薦したい。敢えてわがままを言わせてもらうなら、是非とも「屋上再生」を実現して頂ければ完璧である。

奥野ビルオーナーで奥野商会代表取締役の奥野亜男氏の言葉通り、「いいものを大事に使う」を体現した貴重な東京建築遺産である。

 

ビル・オーナーにとっても「屋上再生」が不動産価値向上の一役を担うという意識で是非とも魅力あるリノベーションに積極的に取り組んで頂ければ幸いである。

 

<追記(1)>

「リアル脱出ゲーム」(生みの親は、SCRAP代表:加藤隆生氏)のように都心住宅街のマンションの一室や廃校を活用した期間限定のアミューズメント施設を展開するなど

新たなデッドスペース活用の兆しも次々と出てきている。

<追記(2)>

先日ディスカバリーチャンネルの再放送「メガ建造~不可能への挑戦:超高層ビル」を視聴して思ったこと。

観光名所となったシンガポールのマリーナ・ベイに面した総合リゾートホテルである「マリーナベイサンズ(Marina Bay Sands)」の設計秘話が紹介されていた。

イスラエル系カナダ人建築家のモシェ・サフディ氏が3つのタワーを並べ、「その上に板を置いてみて」といった偶然の行動が、いままで誰も気づかなかった究極の造形を創造することとなった。タワー1、2、3と3つの超高層ビル(最高部で高さ200m、57階建て)を屋上で連結した構造は、これまでの高層建築の常識を覆し、今後建築界のスタンダードとなっていくコンセプトが埋め込まれている。

より高く天空へ」「タテ方向への進化」を目指してきた高層建築は、この時を境に「空中でヨコ展開」という新たな発明を勝ち取った瞬間であった。

空中で「ヨコ方向」に連結していくことで、「空中都市(=天空都市)」を獲得することに成功したのである。

 

<総論>

新・東京都市再開発」のキー・コンセプトは、

「デッド・スペースの再生」「新たなヨコ空間の創造」である。

 

これからも変わらず・・・

海を埋め立て新しい土地を生み出し、相変わらず高層ビル街を建てていくの?

複雑に利権が絡んだ土地を区画整理し、大型商業施設やタワーマンションを建てるのに労力を注いでいくの?

この戦後一貫して行われてきた再開発のサイクルを引き続き繰り返せば繰り返すほど、東京は廃墟都市に向かって突き進むことになるだろう。

 

デッド・スペースの再生」と「新たなヨコ空間の創造」という二つを視点をシンクロさせていくことで、都市・東京は新たなステージを迎えることになるだろう。

既存の空間においては、「いいものを大事に使う」という人間らしいリノベーション視点を。

新たな空間においては、「ヨコ展開」を取り入れた都市設計を。

想像してみよう。今まで誰も気づかなかった巨大スペースが天空に出現するなんて。

これを人類の発明と言わずして何というのだろうか?!

 

空間を消費する既存の都市開発を改め、限られた空間の再生・3D視点化よる都市開発へチェンジ・シフトせよ!

そうすれば、「未来都市・東京」が世界から注目される日が必ず訪れるはずである。

 

世界で描かれてきた歴代の未来予想図には、「空中都市(=天空都市)」が必ず描かれている。

 

人間が想像できることは、人間が必ず実現できる

ジュール・ヴェルヌ

 

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▼【YouTube】世界有数のメガポリス「東京」イメージ動画
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