GINZA SIX(GSIX)が予感させる新たな都市空間 PART.1 ~閉塞した都市モデルのキャズムを超えることは可能か?

 
長い人類の歴史を振り返ると、
①物質的な量の拡大を続ける時代
②質的な、本当の生活の豊かさなどに人間の関心が移っていく時代
以上の①と②が交互に繰り返していくことがわかる。
現在はまさに①から②への転換期にあたっている。
工業生産の時代は、自動車にしても何にしても、全国、世界、同じものが出回るとともに、そうした画一的なものがどれぐらいあるかによって、「進んでいる」、「遅れている」という評価がなされた。
「進む」、「遅れる」という時間軸でなんでも物事を見る時代であった。
しかし、成熟の時代となり、地域ごとの豊かさや多様性に段々人々の関心が向かっている時代が到来している。
短期の利益しか見ない今の経済システムから、長いスパンでの成果を評価する時代への転換が今まさに進みつつある。
将来の成果のために今を位置づけるのがこれまでの経済システムだが、
それでは現在がいつまでたっても手段になってしまう。
そうだ、そこから抜け出さなければ我々の明るい未来は訪れない・・・。
 
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兼ねてより個人的に注目し、拙生の動画チャンネル「TOKYO,TOKYO,TOKYO !」でも建設経過を撮影してきた「銀座六丁目10地区市街地再開発」の全貌が披露された。
施設コンセプトは「Life At Its Best 〜最高に満たされた暮らし〜」、「世界のGINZAをつくる」を新たなアイコンに展開する大型商業複合施設「GINZA SIX」(2017年4月20日OPEN)の幕開け。(以下、略称「GSIX」)
「世界都市総合力ランキング」において常に上位に位置する「東京」において、最もラグジュアリーな大人なの街「銀座」の一等地に鳴り物入りで出現。
個人的にリスペクトするアーティストのひとり、椎名林檎さんが出演するプレオープンに合わせて公開したプロモーションビデオの完成度を見ても、当該施設が既定路線の商業施設とは一線を画したものであることを予感させた。
また、「久しぶりの銀座大型再開発」というアドバンテージにより、各種メディアが多角的な情報特集を競って組み、人々の興味関心を醸成する役割を果たしたことも
幸先の良いスタートの一翼を担った。(更にOPEN当日は快晴!)
オープン初日は、入場規制を行う程の盛況ぶりを見せた。
 
既にオープンから数週間が経つが、連日、好奇心旺盛な多くの訪問客が継続的に押し寄せている。
ここで、「GSIX」が発行するフリー・マガジン「GINZA SIX magazine」を参考に、大まかな施設概要を見ていきたい。
 
先ずは「銀座」そのもののポテンシャルを示す数値について
銀座駅の1日の平均乗降者数:245,208人
〇銀座中央通りの歩行者数:(休日)100,000人/(平日)77,000人
〇1年間で銀座を訪れる外国人:948万人(訪日外国人1,974万人の約60%)
〇銀座4丁目の1㎡あたりの地価:5,050万円
〇世界の都市総合ランキング:東京=第3位(1位:ロンドン、2位:ニューヨーク)
〇百貨店およびショッピングモール数とミシュランスターのレストラン数:16店と37軒
[参照元:「GINZA SIX magazine」2017年4月20日発行号より]
 
以上のようなアイコンだけでも「銀座」という土地が、世界でも稀有な集客力を誇るエリアであることは疑いの余地がないであろう。
 
それではいよいよ核心の「GSIX」施設概要に触れていきたい。
銀座六丁目、中央通りに沿って南北にそびえ立つ全景(建物正面)は、重厚な佇まいを保ちつつも、ハイセンスでアンシンメトリーな意匠を形成している。
銀座通りに面する間口115mのファサード(建物正面)は、下層部が1Fに出店する6つのブランドの「のれん」をイメージ、上層部は建物全体の統一感を醸成する「ひさし」をイメージしている。
1F路面側には世界の一流ブランド店のフラッグが慎ましやしかに連なっており、
いわゆる「銀座=高級ブランド」といった押しつけがましさのない上品な景観を生み出しているのも好感が持てる。
(詳細は後述するが)裏手に回ると建物内部を南北に貫く専用道路が通っており、
都心でも最大級のバスターミナル基地としての機能も併せ持つ施設となっている。
(昨年、新宿南口に出来た「バスタ新宿」などをはじめ、2020年東京五輪に向け都心主要地区における巨大バスターミナル建設がトレンドなのか?!)
また、都心の商業エリアでは非常に珍しい「可動式大規模地下駐輪場」が併設されており、近郊から都心へ自転車で通勤するビジネスパーソン、いわゆる「ツーキニスト族」をはじめとするエコ志向の顧客ニーズに応えることのできる先進的な都市施設といえる。(銀座地域におけるエコライド発着基地として発展して欲しい)
 
大まかな施設内部の構造は、
〇商業フロア:B3F~6F、13F、RF(計241店舗)
〇オフィスフロア:7F~12F
文化施設:観世能楽堂(B3F)
〇観光施設:「銀座観光ステーション」、観光案内、観光バス等の乗降スペース(1F)
の4ゾーンに区分されている。
 
商業フロアにおけるアイコンとしては
〇総店舗数:241店
〇旗艦店:122店
〇日本初:11店
〇世界最大級:4店
〇新業態:65店
〇銀座初:81店
〇日本最大級:34店
といった他の大型商業施設にはない規模のスケール感が伺える。
 
「GSIX」のフロア構成を能や浄瑠璃における脚本構成上の3区分に例えるなら、
1Fフロアが『序(導入部)』とするならば、2F~5F(およびB2F~B1F)は『破(展開部)』、6F・13F~RF(そしてB3F)は『急(結末部)』と表現することができるだろう。
□「世界の銀座」を象徴するラグジュアリーな『序(導入部)』空間
銀座中央通りに面する2カ所の正面出入り口(1F)から入店し、先ず視界に入ってくるのはディオールセリーヌ、サンローラン、フェンディ、ヴァレンティノ、ダミアーニ、ロレックス、フランク・ミュラーをはじめとする「世界の銀座」を象徴するような一流ブランドショップ群。(*メゾンのすべてが終結する「HOUSE OF DIOR」はロンドン、ソウルに続き日本初出店)
□訪れる楽しさ、好奇心を奮い立たせる『破(展開部)』空間
2F~5Fの中央部を貫く贅沢で解放感のある巨大な吹き抜け空間にディスプレイされた世界的前衛芸術家・草間彌生氏による巨大バルーンのインスタレーションが象徴的な『破(展開部)』フロアへ。(*草間氏作品は期間限定のオープニング展示)
吹き抜けを中心に同心円状に二重の店舗ルートが配置されており、フロアをぐるっと2周するだけでストレスなく全店舗を巡ることができる設計になっている。更にフロアを2周回った地点に昇降用エスカレーターが絶妙に配置されており、3次元移動におけるスムーズな回遊性も実現している。
フロアを設計したインテリアデザイナー:グエナエル・ニコラ氏が語る「ぶらぶらと歩く楽しみ、角を曲がった先の偶然の出会いを楽しんで頂きたいと思います」というイメージを忠実に再現することに成功している。
また、各フロアのメインスペースと呼んでもおかしくない箇所に広々としたソファが設置されていたり、世界的クリエーターによるアート体験空間(高さ12mの壁面アート)など、顧客満足度を向上させるためのリラクゼーションスペースやアメニティ空間が設けられていることも特筆すべき点であろう。
□知的好奇心をくすぐり、銀座時間をゆったりと体感できる『急(結末部)』空間
『急(結末部)』の目玉は、「銀座 蔦屋書店」(6F)と「屋上庭園」(RF)である。
先ず6Fから見学してみよう。
フロアの占有比は、約2/3がレストラン・カフェ施設、残りの1/3がTSUTAYA書店で占められている。(テナントとして入居している個々のレストランの詳細については、ネットなど他の紹介記事に譲ることにする)
「銀座 蔦屋書店」の運営母体・CCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)は、予てより悲願であった都心初出店をGSIXで実現することになった。
GSIXのHPを参照すると、「本を結節点としてアートと日本文化と暮らしをつなぎ、『アートのある暮らし』を提案します。アートを眺めながら、また、アートブックをひらきながら、珈琲を飲むことができるカフェやギャラリーを併設(ARTBOOK&CAFÉ)」とある。
足を踏み入れると、混沌とした6万冊の雑誌・書籍の海が目の前に広がる。
しかし、そこは蔦屋書店のお家芸である「緻密に計算されたテーマ別配列」で構成されており、次々と好奇心をくすぐられる仕掛けが至る所に仕込まれている。「アートのための蔦屋書店」と謳うだけあって関連書籍は、代官山店や六本木店を遥かにしのぐラインナップで構成されている。
店内は木材を多用した江戸の美意識をイメージし、ユニークな棚づくりで構成されている。
書籍などの確固たる好みがあって選択に時間のかかる事柄については、「蔦屋書店」のような個別にカスタマイズされたデフォルト購入できる書店ほうが楽である。
またセレンディピティ(意外性)やアーキテクチャーを提案してくれる店づくりもありがたい。
ネット書店の台頭によるリアル書店不況が叫ばれる現代において、「銀座 蔦屋書店」が新たな文化発信基地として進化していって欲しいものである。
そして、いよいよ私の一押しする空間に足を進めたい。
13Fのレストランゾーンのパティオ(中庭)からRFにアプローチする階段を昇ると、「ここは本当に銀座なのか?」という驚きと興奮を覚える空間が広がる。
GSIXの目玉のひとつ、銀座エリア最大の約4,000㎡の屋上庭園「GINZA SIXガーデン」である。
全方位回遊型展望スペースを兼ね備えた憩いの緑化スペース。
眼下に銀座周辺のビル群、その先には東京タワーやスカイツリーをはじめとする東京を代表するアイコン、晴天時には富士山まで眺望可能な空間となっている。
(有料入場でもおかしくない展望空間を惜しげもなく無料解放してくれた森ビル開発をはじめとする事業主の懐の深さに感謝したい!)
今後予定されているファッションショーやビアガーデンなど様々なイベントも楽しみだが、GSIXらしい「アート」×「日本の伝統文化」を演出したイベント企画にも期待したい。(例えば、「江戸盆栽博覧会」「大銀座盆踊り大会」「天空の昭和映画館」など広大なスペースを活かした企画)
 
<PART.2に続く>
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【参考文献】
・人類社会学者・広井良典千葉大学教授)氏による論文
・「里山資本主義」(角川oneテーマ21/藻谷浩介・NHK広島取材班:著)
・「東京は郊外から消えていく!」(光文社新書三浦展:著)
・「GINZA SIX magazine」(4月20日,2017発行号)
・「東京人」(2017年5月号:特集「銀座120の秘密」)
・「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」(発表元:森記念財団シンクタンク・都市戦略研究所)
 
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▼【YouTube】銀座六丁目再開発プロジェクト“GINZA SIX”
▼【YouTube】世界有数のメガポリス「東京」イメージ動画
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