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GINZA SIX(GSIX)が予感させる新たな都市空間 PART.2 ~閉塞した都市モデルのキャズムを超えることは可能か?


(PART.1からの続き)
 
【GSIX(GINZA SIX)について感じたこと】
 
①充実したアメニティ
・各フロアのメインスペースに充分なソファが配置されており、買い物疲れの顧客や待ち合わせ場所として機能している。
・フロア南北それぞれに充分なレストルーム(トイレ等)が設置されており、行列待ちなどによるストレスを感じることなく利用可能。
・上顧客向けには特別なメンバーシップラウンジ「LOUNGE SIX」(5F)が用意されている(会員限定のオリジナルフードやドリンクメニューの他、国内外のVIPを満足させるハイクオリティーなプログラムと一流コンシェルジュが対応する特別な空間が用意されている)
②回遊性
センターフロアの吹き抜け(2F~5F)を中心に同心円状に2本のループ(通路)が設計されており、同一方向に2回転することでフロア全体を巡ることが可能(他商業施設で見受けられるような袋小路はほとんどなくストレスフリーなフロア回遊を実現している)
また、上下階へつなぐエスカレーターもフロア回遊性に連動して適切な場所に設置されており、他施設でありがちな「(昇り・下りの)エスカレーター乗り場はどこ?」といった探す煩わしさを一切感じることがない(センター吹き抜け空間によりフロアのどこにいてもエスカレーターの位置確認が可能)
③店舗レイアウト・デザイン
他商業施設にありがちな、床面積あたりの効率性(コストパフォーマンス)を重視した紋切り型のレイアウトではなく、通路全体がゆるやかなカーブを描き、「この先にはいったいどんな店があるのだろう?」と期待させるレイアウトになっている。
各テナントはゆったりとしたスペースに収まっており、圧迫感を感じることなくリラックスした気分で店内で買い物できるように演出されている。
また、奥まった場所には落ち着いたカフェやレストランが点在し、フロアの喧騒を避け、銀座の街を眺めながらゆったりと過ごせる施設が設置されている。
④利便性
東京メトロ(銀座・日比谷・丸の内)の3線が走る「銀座駅」に直結する通路が開通予定(2017年12月予定)。
地下通路に加え、観光バスの乗降所や515台収容可能な地下駐車場、さらには400台収容の公共駐輪場も設置されており、徒歩、自転車、電車、自動車と様々な交通手段でやってくる人々を受け入れる銀座のランドマーク的存在である。(2020年・東京五輪を想定し、大会各会場と東京駅を結ぶ大型バスの中継地点としてのハブ機能も併せ持つ施設)
⑤商業施設+αとしての拡張性
〇「アート」鑑賞の空間(現代美術界のアーティスト作品)
草間彌生氏:バルーンのインスタレーション「ドットとカボチャのバルーンアート
・チームラボ:デジタルインスタレーション「リビング・ウォール」
・パトリック・ブラン氏(植物学者):「リビング・キャニオン」
・エレベーターホールのアート群(江戸小紋模様の彫刻など)
〇「旅」を支援する空間
・ツーリストサービスセンター「TERMINAL GINZA」
観光バスの発着所に面していることから、コンビニや両替所、免税手続き窓口、配送窓口などツーリストにとって利便性の優れた空間が設けられている。
バスの発着時間帯(午前9時~午後9時)は、バイリンガルスタッフが常駐。
銀座を基点に日本各地を旅することを可能にする情報発信基地として、また訪問客がコンパクトな日本を感じることができる演出がなされている。
〇「憩い」を味わう空間
・銀座エリア最大の屋上庭園「GINZA SIX ガーデン」(約4000㎡)は、そのスケール感と抜群の回遊性が特徴である。
〇「知的」満足度を高める空間
・「銀座 蔦屋書店」(6F)は木材を多用した江戸の美意識が息づく店内の各所で展開されるユニークな棚づくり。併設するギャラリーやコーヒー、アルコールが飲めるスターバックスなど
〇「文化・伝統」を広く内外へ発信する空間
銀座地区へ里帰りした「観世能楽堂」(B3F)は、地域に開かれた多目的ホールとしての機能も果たす施設。今後予測される大震災等にも対応可能な防災拠点としての機能も兼ね備えた施設となっている。災害発生時約1000人の帰宅困難者の一時滞在場所として、また、施設全体で約3000人が3日間、一時滞在できるようスペースと食料が備蓄されている。
⑥演出(外観・店内)
店舗レイアウトは「ぶらぶらと歩く楽しみ、角を曲がった先の偶然の出会いを楽しむ(デザイナー:グエナエル・ニコラ氏)」設計になっている。
「アートと融合した商業施設」をコンセプトの一つとしているだけあって、フロアの各所は様々なアート作品で溢れている。
外観においては間口115mの銀座通りに面した意匠は、6つの印象的なファサード(上部が全体を統一する「ひさし」、下部が6つのブランド店の「ひさし」)で構成されており、重厚な中にも銀座を彩るラグジュアリーで上品な雰囲気を醸し出している。
また、元々存在していた銀座の通りを継承する2つの通りを敷地内に再現することに成功している。
〇「銀座パサージュ」:館内を中央通りと三原通りを東西に結ぶ通路(開放時間:午前7時~午後11時30分)
〇「あづま通り」:交詢社通りとみゆきどおりを南北で結ぶ通り(24時間通行可能)
⑦話題性(情報発信力)
・グランドオープンに合わせ、アート系メディアやメトロポリタンガイドなどによる特集が多数組まれている
・オープニングに合わせたプロモーションビデオでは、2016年リオオリンピック閉会式演出スタッフ陣とコラボにより、2020年東京五輪を意識した東京を代表する商業施設として巧みなイメージづくりに成功している。
・来訪者がSNSを使った情報発信を積極的に行いたくなるような仕掛けなど(インスタ映えする店内アートなど)
*****
(あくまでも個人的見解であるが)
GSIXは、近年登場した都内商業施設の中でもあらゆる面において群を抜いた「魅力ある施設」であると感じた。
顧客を引き寄せるための魅力的な商品のラインナップについては、各テナントの企業努力によるところが大きいが、それだけに頼っていてはファンとなるリピーターや良質な新規顧客の獲得を延ばしていくことは相当に難しいだろう。
しかしながらGSIXには、そんなキャズム(溝)を乗り越えるだけの「潜在的なポテンシャル」が十分に兼ね備えられているように私には感じられた。
そのポテンシャルを活かすも殺すも、人間の知恵と工夫次第であるが...。
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【参考文献】
・人類社会学者・広井良典千葉大学教授)氏による論文
・「里山資本主義」(角川oneテーマ21/藻谷浩介・NHK広島取材班:著)
・「東京は郊外から消えていく!」(光文社新書三浦展:著)
・「GINZA SIX magazine」(4月20日,2017発行号)
・「東京人」(2017年5月号:特集「銀座120の秘密」)
・「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」(発表元:森記念財団シンクタンク・都市戦略研究所)

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▼【YouTube】銀座六丁目再開発プロジェクト“GINZA SIX”
 
▼【YouTube】世界有数のメガポリス「東京」イメージ動画
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