東京都市考:東京都議会議員選挙を目前に想うこと(その2)

遂に小池都知事豊洲移転を表明した。
概要をかいつまんで説明すると、豊洲市場に追加の安全対策を施して市場を移転し、築地は五年後(東京五輪後)をめどに再開発をするといった内容である。
 
当初計画されていた築地跡地の民間への払い下げは白紙撤回され、市場機能を残した「食のテーマ―パーク(仮)」として東京都が再開発する予定である。
 
小池都知事は「築地を守る、豊洲を生かすことを基本方針の第一とする。築地は長年培ったブランド力、地域の調和を生かして改めて活用することが大切な宝を生かす方法だ」と述べた。
東京都議会議員選挙直前の絶妙なタイミングで、秘策「小池二刀流」の刃(やいば)が振り下ろされた瞬間であった。
 
発表を受け、市場関係者周辺は、暗闇にようやく光が差し込んだという安堵感と共に概ね好意的な雰囲気が漂っているような印象を受けた。
 
対抗勢力である自民党都議連は小池方針を受け、どのような反撃に打って出るのだろうか?
 
先ず挙げられる争点は、豊洲市場に関わる「借金返済問題」である。

当初築地跡地を民間へ一括売却して得た資金を豊洲の借金返済の一部に充てる計画であった。しかし、小池知事は築地を売却せず、都主導再開発による跡地有効利用から得られる賃貸収入等で数十年間にわたって借金を返済していくという長期返済プランを表明した。これを受け、「現実路線として収支基盤形成における大きな不安定要因あり」との異議申し立てを自民党都議連が選挙戦の材料として使ってくることが予想される。
 
つまり、「民間売却による短期借金返済」と「民間貸しによる賃貸収入等による長期借金返済」の対立構造をひとつの争点とする選挙戦が繰り広げられることが予想される。
 
この争点において選挙に臨む私たち都民(有権者)が着目すべきは、「都民ファースト」の視点でどのように考え、最終判断を下すかにある。
 
民間売却による短期借金返済」は、将来予測不能な都民への追加増税を抑止するという点では確かに正しいと言えるだろう。(「借金返済は最大の投資」という言葉もある)
しかしその一方で、長い歳月を積み重ね築きあげてきた「築地ブランド」を失いかねない危険性も孕んでいる。例えば、払い下げを受けた民間企業が自社利益追求を第一に、跡地に高層タワーマンション群を建設するような事態ともなれば、「築地ブランド」は一瞬の内に跡形もなく消滅してしまうことは明白であろう。(また、巷で噂に上がる築地跡地の巨大利権に絡む様々な癒着問題に発展しかねないとも考えられなくはない)
 
一方、都が改めて築地跡地の大屋となり、「築地ブランド保全に沿った再開発計画を推移し、テナントからの賃貸収入等で借金を返済していくというプランは、あながち的を外れた施策ではないような気がする。そこには市場関係者ばかりではなく周辺住民、ひいては都民にとっても最善の結果をもたらしてくれそうな、「都民ファースト」の空気感が溢れている様に感じられる。(築地ブランドだからといって「食のテーマ―パーク(仮)」とは、チョット安易すぎる発想なのかも知れないが、5年あればきっと素晴らしい再建案が出てくることに期待したい)
 
二つ目の争点として、豊洲市場における「追加の安全対策」に対する自民党都議連の反撃が予想される。
今回の市場移転問題の根本課題である「食の安心・安全」を都民に対してどの様に担保するのか? 「追加の安全対策」で、本当に安全と言い切れるのか?…
 
結論から言ってしまえば、都は都民に対し今回実施する「追加の安全対策」の内容において、科学的裏付けに基づいた充分な説明責任を果たし、最終的に公式な「豊洲市場安全宣言」を発布することによって、半ば情緒的に煽られてきた都民の不安感を払しょくし、大筋で理解を得ることが可能となるのではないだろうか。(少なくとも私はそう感じている)
 
豊洲移転における「借金返済問題」「築地ブランド存続」「食の安全・安心」という三つの争点に対する問題解決において、今回発表された小池方針は決して完璧なものではないのかも知れないが、現状考えられる中で「都民ファースト」の視点に沿った最も現実的な着地点と言えるのではないだろうか。

今回の選挙戦においては、東京大改革の旗を掲げ都民ファースト視点で政策を更に推し進めたい「小池派」陣営と、小池独裁政権誕生による二院代表制(*)の危機に警笛を鳴らす「アンチ小池派」陣営による二大勢力の局所戦が都内各所で繰り広げられることが予想される。

いずれにせよ二週間後には都民の審判が下され、世間を騒がせ続けてきた「豊洲市場移転問題」をはじめとする諸問題に一定の決着がつくだろう。
 
7月2日(日)ーーーそうだ東京都議会議員選挙、行こう
 
(*)二院代表制=地方公共団体(ここでは東京都)には、団体としての意思を決める議会(議決決定権=都議会)と議会の決定に基づいて事業を執行する団体の長(東京都知事=執行機関)がある。議員と都知事が住民による選挙で直接選ばれている。

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